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「ガルパン」を題材にアニメのドラマ構成を考えてみる その一

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「ガルパン」を題材にアニメのドラマ構成を考えてみる その一

ドラマの構成に関しては、映画の三幕構成としてすでに多くの人に論じられています。

映画は一般的に、はじめから終わりまで一気に観ることが前提に作られていますから、無駄のない構成が良しとされます。長時間集中力を維持するのは疲れますから、観客は無駄に見える部分があるとイライラしたり、寝たりします。
興行的にも上映時間が短い方が好ましいようで、いわば外部からの短縮化の圧力もあります(反対に雑誌連載の漫画には引き延ばし圧力がかかったりするようですが)。
そこから、映画にはドラマとして成立する最小限に近い構成があると考えられます。

まずは、この三幕構成について自分なりに簡単にまとめてみようと思います。(内容は一般によく知られているものと変わりません。)

第一幕では、主人公をはじめとした主要な登場人物が紹介され、物語の舞台、そして主人公が何をする映画なのかが示されます(セットアップ)。
そして物語の発端となる事件が起こる、あるいは状況が明らかになります。
主人公にとっての中心的な課題が示され、最初のターニングポイント(転換点)で主人公が物語の中に本格的に踏み込んでいく行動を取ることで、第二幕へ転換します。
映画では第一幕は全体の約四分の一、30分程度とされます。

第二幕の分量は、第一幕の2倍、1時間程度で、前半と後半に分かれます。
前半では、主人公は概ね順調に障害を突破して物語を前進させます。
ここで主人公が物語と関係のないことばかりしていると、観客は話が進まないように感じて不満を感じてしまいます。
「概ね順調に障害を突破して」と述べましたが、実は失敗続きでも主人公が前向きに挑戦し続けている限りは、観客は物語は前に進んでいると感じるようです。その努力はいつか報われると感じるからでしょう。

第二幕の中間あたりにミッドポイント(中間点)と呼ばれる転機があり、第二幕の後半が始まります。ここまで概ね順調に進んできた主人公は苦境に陥り、追い詰められていきます。
前半から後半への転換は、衝撃的に見せた方が効果的です。
「敵」は今までよりスケールアップし、味方は内部分裂して足並みが揃わず、今まで主人公を導いてきた頼りになる人物が退場する、といったことが起こります。
ドン底まで追い詰められた主人公が、第二のターニングポイント(転換点)で大きな決断を下し、最後の挑戦を試みます。

第三幕では、第二のターニングポイント(転換点)で生まれ変わった主人公が試されます。
クライマックスで最大の障害を乗り越えることで、「主人公の中心的な課題」が達成されたことが示され、それに続くエンディングで副次的な問題も解決し、世界は(少しかも知れないが)変わったことが提示されて、物語は終わります。
分量としては、第一幕と同じかそれより短いくらいになります。


それではTVアニメではどうかというと、毎週前回の続きを放送するという形式ゆえに映画と同じタイトな構成にはなりません。映画の構成をそのまま引き延ばして、序盤の四分の一が第一幕、中盤の二分の一が第二幕、終盤の四分の一が第三幕としてもうまくいかないでしょう。

ではどうなるかという点を「ガールズ&パンツァー」を実例に検討することにします。
分析しやすい分量の1クールのアニメで、原作の展開に引きずられないオリジナルのストーリー、力強いドラマの構造を持つ作品、という条件で選びました。

続き:
「ガルパン」を題材にアニメの構成を考えてみる その二


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